京浜急行電鉄(京急電鉄)は、独特の音階を鳴らして走行する「歌う電車」の運行を2021年夏に終了します。
電車のモーターの制御を行うインバータは構造上、振動により「磁励音(じれいおん)」というノイズを発生します。京急電鉄が採用したドイツのシーメンス社によるインバータ機器は、この磁励音が音階に聞こえるように調整されていました。耳に残る特徴的なメロディが注目を集め、沿線の利用者には「歌う電車」として、京急ファンからは「ドレミファインバータ」と呼ばれて親しまれてきました。
シーメンス製インバータは、京急電鉄創立100周年の1998年から2000年にかけて導入された2100形車両、2002年から導入された新1000形車両(1次車・2次車)に搭載されました。しかし、2008年12月から始まった車体更新により順次、他の機器に置き換えられ、徐々に数を減らしています。そして、最後の1編成となった1000形(1033編成)も、2021年夏の更新によりメロディを奏でなくなる予定です。
京急電鉄は、すべての電車が「歌い終える」ことを記念して、沿線の方の思い出に残る各種イベントを開催します。
2021年7月10日(土)には「さよならドレミファインバータ♪記念乗車券」が京急蒲田駅で発売されます。いつまでも「ドレミファインバータ」のハーモニーを思い出せるよう、台紙を開けるとあのメロディがなる特別仕様となっています。おねだんは1セット2,000円です。当日7:00から改札外特設カウンターで限定5,000セット発売されます(購入はお一人2セットまで)。
記念乗車券の購入者にはその場でくじ引きができる特典があり、当選者(15組30名)は特別貸切イベント列車「ありがとうドレミファインバータ♪」へ招待されます。このイベント列車は、7月18日(日)に品川駅から久里浜工場まで運行されるもので、車内外で音を楽しめるイベントや、記念カードのプレゼントなども実施されます。京急百貨店(横浜市港南区)のカルチャースクール「COONOWA(コトノワ)」会員向けにも170名限定で募集販売されます。
京急ストア(本社: 横浜市西区)では、「ドレミファインバータ」の走行音を楽しみ、走らせることができるサウンドプラレール「京急新1000形(アルミ車)」(参考価格3,200円)を9,000個限定で発売します。7月10日(土)には京急蒲田駅特設会場およびオンラインショップ「おとどけいきゅう」での先行発売を実施します。
京急グループは、「歌う電車」が沿線に奏でてきたハーモニーがいつまでも記憶に残るよう、運行最終日まで、そして終了後も楽しめるような取り組みを行うとしています。